核医学とは
核医学検査は少量の放射性医薬品を投与して、CTやMRIでは分からない体内の状態や臓器の働きを評価する検査です。一般的な核医学検査(SPECT検査)とPET検査があります。
また、131-Iを用いた甲状腺機能亢進症や甲状腺癌に対する治療、223-Raを用いた去勢抵抗性前立腺癌の骨転移など、放射線医薬品を用いた治療も行っています。
核医学検査
放射性医薬品を投与し、体内から放出された放射線(ガンマ線)を収集することにより画像が得られます。転移性骨腫瘍の検出、脳や心筋の血流検査、腎機能検査など多種多様の検査があり、目的に応じて様々な放射性同位元素(RI)を使い分けます。骨、心血管系、脳血流、腫瘍、呼吸器、内分泌、腎、消化器等のシンチグラフィやSPECTおよびPET-CTは、放射線科が検査・読影をしています。心筋血流シンチグラフィは循環器内科と協力して検査を行っています。必要に応じて、運動や薬物投与による負荷検査を実施することもあります。
主な対象疾患
もやもや病や動脈狭窄/閉塞症例など脳血管障害/認知症/パーキンソン病関連疾患/甲状腺疾患/虚血性心疾患/肺塞栓症/肺高血圧症/腎疾患/副腎腫瘍/悪性腫瘍/サルコイドーシス/大型血管炎など
SPECT検査
SPECT(single photon emission computed tomography)は1方向のガンマ線を放出する放射性医薬品を用いる検査です。SPECT-CT検査では、SPECTによる機能情報とCTによる形態情報が得られるため、診断精度が向上します。目的とする臓器における機能あるいは特定の反応を非侵襲的にとらえることができます。骨、心血管系、脳血流、腫瘍、呼吸器、内分泌、腎、消化器等のシンチグラフィを行っています。
PET検査
PET(positron emission tomography)はポジトロン放出核種で標識された薬剤を用いた検査法です。PET-CT検査ではPET画像に加え、CTとの融合画像が得られるため、病変部を特定することに有用です。
代表的なPET製剤である18F-FDGはグルコース類似物質であり、悪性腫瘍や炎症などの糖代謝が亢進している病変の活動性評価に用いられます。悪性腫瘍(早期胃癌を除く)においては病期診断、治療効果判定、再発診断などで有用です。また、心サルコイドーシス、てんかん(難治性で外科手術が必要とされる場合)、大型血管炎(高安動脈炎または巨細胞性動脈炎)の診断にも用いられています。
核医学治療
経口もしくは経静脈的に投与された放射性医薬品が病巣に選択的に取り込まれ、そこから放出された放射線(アルファ線やベータ線)により治療します。病巣以外の正常組織への放射線の影響が少ない非侵襲性の治療です。保険適用のある核医学治療(RI内用療法)を行っています。
対象疾患
甲状腺機能亢進症/甲状腺癌(甲状腺全摘後の残存甲状腺組織の破壊/転移や再発病変の治療)/骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌
検査機器
核医学診断装置は、SPECT-CT 2台、PET-CT 1台が稼働しています。いずれもガンマカメラやPETカメラにCT装置を組み合わせた装置であり、薬剤集積部位などを正確に特定することが可能です。半導体検出器のSPECT-CTでは各光子を直接電気信号に変換することにより、従来の検出器より位置情報やエネルギーをより正確に特定することができ、空間分解能とエネルギー分解能が向上しています。