診療案内

IVR

Interventional Radiology

IVRとは

IVRはInterventional Radiologyの略語です。日本語では画像下治療、海外では頭文字をとってIRと呼ばれます。X線や超音波などを用いて画像下に行う低侵襲治療で、血管系のVascular IVRと、非血管系のNon-Vascular IVRに大別されます。Vascular IVRは血管内にカテーテルを挿入して行う手技で、血管塞栓術や血管拡張術といったものがあります。Non-Vascular IVRは体表から臓器や組織を穿刺し、生検やドレナージ、アブレーションといった手技を行います。IVRは局所麻酔下で行えるため、短期間での入院治療が可能です。
愛知医大には手技に習熟したIVR専門医が多く在籍しており、緊急症例に対しては夜間を含め24時間体制で対応しています。

主な治療方法

動脈塞栓術

カテーテルを動脈内に挿入して標的部位まで進め、先端から塞栓物質を注入することで、腫瘍に対する抗腫瘍効果や、出血に対する止血が得られます。他にも、動脈瘤や血管奇形といった血管の異常に対しても行われ、病変を縮小させることができます。塞栓物質には、コイル、プラグ、球状塞栓物質、ゼラチンスポンジなどがよく用いられ、治療する病変の病態や部位、血管サイズ等により塞栓物質を使い分けて治療を行います。

血管形成術

血管狭窄による虚血症状を改善させることができます。バルーンカテーテルで狭窄を拡張し、ステントと呼ばれる筒状の金属メッシュを留置して拡張を維持させます。また、大動脈瘤に対しては、ステントグラフトを留置することで破裂を予防し縮小させることができます。ステントグラフトは血流を維持しつつ、ステントグラフト外の血流を遮断することが可能で、動脈損傷にも使用されます。大動脈ステントグラフト内挿術は血管外科と合同で行っています。

Non-Vascular IVR

体表から臓器や組織を穿刺し、組織精査のための針生検や、膿瘍のドレナージを行っています。穿刺はCTを用いて穿刺経路を確認しながら行っており、超音波では検出しづらいような深部の標的に対しても安全に穿刺することが可能です。

主な対象疾患・手技

肝細胞癌をはじめとする各種腫瘍に対する動脈塞栓術

肝細胞癌に対しては、カテーテルを腫瘍の栄養動脈まで進め、抗癌剤を注入したのちにゼラチンスポンジで塞栓する肝動脈化学塞栓療法(TACE)を施行しています。血管撮影装置には、腫瘍の栄養動脈を検出するアプリケーションが搭載されています。栄養動脈のみ治療することで、腫瘍内へ高度に薬剤を注入することが可能で不必要な領域の過塞栓を防ぎ、治療効果の向上と合併症の予防に役立っています。

肝細胞癌(矢印)

栄養動脈検出

子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)

貧血、不正出血、疼痛などの症状を伴う子宮筋腫に対して、子宮動脈塞栓術(UAE)を行っています。両側の子宮動脈から粒状塞栓物質を流し込み、筋腫の血流を低下させて筋腫を縮小させます。治療効果には個人差がありますが、9割程度で症状の改善が得られます。妊娠を希望される方は治療適応外となります。

子宮筋腫(矢印)治療前

子宮動脈塞栓

治療後

内臓動脈瘤に対する動脈塞栓術

内臓動脈瘤は脾動脈に最も多くみられ、CTなどで偶然見つかることが多いです。2cm以上は破裂しやすいとされており、ある程度の大きさのものや増大傾向があれば塞栓術を行います。治療には金属コイルを用いることが多く、動脈瘤内にコイルを充てんするpackingという方法や、動脈瘤の遠位・近位側にコイルを留置して瘤内の血流を遮断する、isolationという方法があります。

腎動脈瘤 治療前

治療後

止血術(緊急症例を含む)

動脈性出血は致死的な大量出血も珍しくありません。当院は第三次救急医療機関としてドクターヘリを有する高度救命救急センターを備えており、交通外傷を含む外傷症例も積極的に受け入れています。外傷出血では救命救急医と密に連絡を取り、高い救命率を誇っています。弛緩出血や遺残胎盤といった産科領域における動脈塞栓術の依頼も増えており、院内はもとより近隣医療機関からも厚い信頼を寄せられています。

脈管奇形に対する塞栓術、硬化療法

脈管奇形には、動静脈奇形や静脈奇形といった血管奇形や、リンパ管の拡張するリンパ管奇形があります。動静脈奇形は、肺や腎臓といった実質臓器に発生するものと、体幹四肢等の臓器以外に発生するものがあります。臓器由来の動静脈奇形に対する動脈塞栓術は多くの施設で施行されていますが、臓器以外の病変は希で限られた施設でしか治療されていません。当院は上記疾患全てに治療を行っており、全国屈指の症例数を誇っています。

顔面血管奇形 治療前

治療後

その他

大動脈ステントグラフト内挿術、門脈系IVR(B-RTO、PTO、PSE、PTPE)、各種留置術(下大静脈フィルター、中心静脈ポート等)、CTガイド下生検・ドレナージ、等も行っています。

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機器紹介

血管内治療センターに4台(シングルプレーン 1台、バイプレーン 3台)、ハイブリッド手術室に1台の血管造影装置があります。血管内治療センターは高度救急救命センターに隣接しており、外傷性出血や危機的産科出血、心筋梗塞、脳梗塞などに素早く対応することが可能です。ハイブリッド手術室では、ステントグラフト内挿術など外科手術とカテーテル治療を同時に行う際に使用しています。

血管内治療センター

ハイブリッド手術室

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